2011.09.10

「シュナの旅」-不遇な時期を乗り越える

「シュナの旅」はナウシカの原作の執筆開始とほぼ同時期にかかれた宮崎駿のファンタジー絵本である。
1983年6月に初版刊行ということは、もう今から28年も前ということになる。

しかし取り扱われるテーマと世界観は、まったくもって古びない。むしろ新鮮さすら感じた。
「風の谷のナウシカ」、「天空の城ラピュタ」、「もののけ姫」などアニメの金字塔的な作品を生み出す前の萌芽のような煌きを随所に感じることができた。個人的には傑作だと思う。

そんな素晴らしい内容なのだが、あとがきの当時の宮崎駿は大変弱気だ。あまりに地味な企画なのでアニメ化は諦めたのだと書かれている。中国あたりでアニメ化するしかないかも、とまである。いまでは高い評価をうけている「ルパン三世 カリオストロの城」が興行的には振るわず、ちょうど不遇な時期に重なっていたらしい。

本来の価値と評価がマッチしない不遇な時期をいかに乗り越えて先にすすめるか。そこは表現、実現したい世界への熱意と本気さが鍵となるのだろうか。そんなことを考えさせられた一冊だった。


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2011.05.21

バンダイチャンネルのAndroid/iOSブラウザ対応はWebアプリにとってターニングポイントかもしれない

PC用に展開していたアニメ動画配信サービス「バンダイチャンネル」がAndoird/iOSに対応した
国内のアニメVODとしては最強の品揃えを誇るサービスが、
アプリではなく、Webブラウザで対応した点が大変興味深い。

Android向けには、現在PCで使用している配信インフラや動画ファイルをそのまま利用し、Adobe Flash Media Serverでのストリーミングサービスを提供。Adobe Flash Pleyerで再生する形となる。

iOS向けには、httpストリーミングと128bitの暗号化を利用したH.264のストリーミングサービスを新たに用意。QuickTimeで再生する形となる。

Android版はまだ試していないが、iPhone/iPadのSafariでストリーミング再生を楽しむことができた。さすがに有料で売ることが前提だけあって、初回や放送後一定期間限定の無料動画もCMがはいっていない。したがって、ほとんどタイムサーチをすることもないわけだが、ジャンプもサクサク動いていた。

FlashやSliverlightのDRMを使ったPCブラウザ向けの動画配信は多数あったが、おそらく商用コンテンツでスマートフォン・タブレットに向けてブラウザによる配信を実現したのは初めての例ではないだろうか。
(AndroidはFlashベースなので従来の延長線ではある)

HTML5/CSS3/JavaScriptによるWebアプリ開発において、目下解決すべき大きな課題の一つが商用コンテンツの取り扱いである。WebMにまつわるパテントのきな臭い動きに一抹の不安も覚える。しかし、今回のようにブラウザレベルで解決された事例が増えることは、間違いなくWebアプリの応用範囲を広げることに大きく寄与するだろう。

これでAirPlayまで使えたら業界パワーバランスまで変わりそうだなと思って試してみたら、さすがに音声しか出せなかった。

鋼の錬金術師 銀河英雄伝説シリーズ

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2009.12.27

映画アバター(Avatar)を基準に今後の3D映画は語られる

映画アバター(Avatar)を川崎東急109シネマにてIMAX 3D 字幕版で観てきた。

監督はあのタイタニックのジェームス・キャメロン担当だが、構想14年、制作4年、公開に至るまでの道程は平坦ではなかったらしい。

そもそもCGアニメ以外の実写タイトルで全編3Dという時点でかなりの挑戦である。ハリーポッター「謎のプリンス」では、3Dは最初の15分だけという実験的導入だったが、そのクオリティは賛否両論だった。(メンターが空を飛ぶ視点のシーンは良かったが、静的なシーンは結構厳しかったというのが個人的な感想)。

しかし、このアバターについては2時間超の全編3Dである。しかし、3Dであること自体を忘れさせるくらいの自然さを備えつつ、3Dの迫力も生かすという絶妙なバランスを一挙に成し遂げていた。不自然な表現があるとすぐに目に疲れが出てしまうGlassあり3D映像でここまでの自然さを出すのは並大抵の作り込みでは不可能なはずである。実際見終わったあとの目の負担はほとんど皆無であった。

今後出てくる3D映画は、アバターを基準とした比較で語られることになるだろう。

まず上手だなと感じたことは、実写の俳優のシーンより、3DCGキャラクターを使ったシーンを多く用いたことだ。3Dカメラでとったとしても、やはりCGのほうが細かい深度管理ができるので、より緻密な調整ができる。顔の表情も実際の俳優の顔の動きをキャプチャしているそうで、細かい深度調整の施された表情のクオリティは、素晴らしい出来栄えだった。

一方で何から何までCGにしてしまうのではなく、なかなかCGでの完全な再現の難しいもの、例えば風に揺れる木や草等には実写を使いつつ、うまくCGと組み合わせていたあたりもよく考え抜かれていたと思う。2Dであってもいい加減な物理演算で不自然な動き方をするものが少しあるだけで、没入感が一気に覚めてしまう。そうしたことが3Dになると命取りになるのだが、アバターでは徹底的に不自然な動き方をするものが取り除かれていたように思う。

もうひとつ良かったのは、3Dならではの空間表現だ。ガラスや浮遊する小さな虫などを使って、2Dでは難しい空気感の醸成に成功していた。もちろん空を飛ぶシーンのダイナミクスや爆炎のリアルさにも立体オブジェクトの配置は寄与していたのだが、静かなシーンにおいて、比較的小さなオブジェクトを空気中にまばらに配置する手法は、ため息の出るほど美しいパンドラ星の自然を、よりリアルにさせることに成功していた。

ストーリー自体はハリウッドにありがちな非常にわかりやすい二対立構造なのだが、緻密に作りこまれた3D映像は、従来にないレベルの感動を与えてくれた。3Dを導入することが目的なのではなく、より観客が没入して楽しんでもらうための新しい映像を実現するための手段として3Dを用いて、その導入に成功したのがアバターという映画なのだと自分は感じた。

後に、3D映画ブーム元年であったと言われるであろう2009年から、こんなにすごい3Dタイトルがでてきてしまった以上、後続は大変だとは思われるが、次なる3Dの良作に期待していきたい。邦画であればFFVIIアドバンストチルドレンの3D化あたりに期待してしまうなぁ。


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2008.02.19

Blu-ray vs HD-DVD戦争の終わりとネット配信本命説の是非

Blu-ray vs HD-DVD戦争の勃発からはや1年強、ついに戦争終結の時が来た。
株式市場が終わった週末のNHKへのリーク、そして東芝からの公式コメント発表の流れは、撤退の決断はすでなされたと捉えて良いだろう。本社と事業部の確執ってのはどこでもある話で、本田さんの本社サイドから事業部への戦略的誘導という分析は頷ける。

さて、今回のエントリの本題は、アルファブロガーな方々が、真の勝者はBDではなく、ネット配信+HDDだと口を揃えている点についてだ。

MacWorld Expo 2008の真打ちはApple TVだった

世間ではBlu-RayだのHD DVDだのが騒がれていますが、もはやコンテンツの配布手段としての物理メディアそのものが終焉を迎えつつあって、実はリビングルームでもネットとHDDが勝者になるんじゃないの?ということです。

Life is beautiful: Apple TV - take II

ちまたには、東芝がHD DVDから撤退という話が流れているが、そもそもDVD以降の物理媒体には手を出すつもりのない私には一切関係がない話。やっぱりこれからはネット経由でしょう、どう考えても。


BD vs HD-DVD、勝ったのはどっち?

少なくともコンテントを大量配布する手段としての物理メディアはもう終了しました、ていうことでOKでは。
(中略)
今やBD相当のマーケットニッチって、思いの外小さい。
BDは勝ったけど、勝利の大きさとしてはMD程度におさまっちゃうのでは。

正しい方向性の意見ではあるのだけれども、時間軸の観点でいうと、まだちょっと早すぎる考え方だと思う。ネット配信がメインストリームに到達するまでには、2~3年のオーダーじゃなくて少なくとも5年以上かかる、そういう過程を経てDiscはゆっくり消滅していくと思う。

理由はいくつかある。

一つ目は、ビットあたりの転送コストだ。

Life is beautiful: Apple TV - take II

米国のブロードバンド事情(1MbpsのADSLが月30〜50ドル、光ファイバーの普及率は極端に低い)を考えれば仕方がないところ。
Life is beautiful: Apple TV - take II

Disc大国、北米におけるネット環境は実に貧弱だ。仮にITunesStoreのHD映画コンテンツ1本(4.5GB)を1Mbpsの回線でダウンロードすれば、実に10時間もかかる。もうちょっと速い8Mbps回線でも1時間15分だ。DLしながら視聴するというプログレッシブダウンロードによって、多少待ち時間は改善できるかもしれないが、いつコマ落ちするかわからない状況下で、ドキドキしながら映画を見たいひとは少ないだろう。世の中便利なもので、ネットでDiscをワンクリックで買うと翌日に届く時代だし、郵送Discレンタルサービスは急成長を続けている。現状と同等の月額料金で1Gbpsサービスが気軽に使える時代が来るまでは、ネット+郵送+Discの組み合わせが最良のソリューションだろう。では、ブロードバンド先進国日本なら状況は異なるのだろうか?否、今度は配信側のデータ転送コストが割りに合わない。つまりサーバーから配信を続けている限り、ビジネスとして成立しない。だから1Gbpsくらい普通に皆が使えて、P2Pで超高速共有される時代がこないとネット配信はメインになることは難しいだろう。(プロバイダの帯域制限という壁もまた別途ある)

二つ目は、コンテンツのクオリティだ。
帯域の制約、Discコンテンツとの差別化のために、どうしてもネット配信コンテンツはクオリティを下げざるをえない。ちなみにAppleTVで扱っているHDコンテンツというのは720p解像度コンテンツのことだ。しかも採用しているAVCエンコードのプロファイルはかなりお粗末だ。CABACが使われないAVCとは、紅しょうがの載っていない牛丼に等しい。(紅しょうが嫌いっていう人もいるだろうが...)。iTunesのMP3エンコードのデフォルトビットレート設定を160kbpsにして、なおかつ推奨はAAC、という音質への素晴らしいこだわりが感じられたAppleの真摯な姿勢が、こと映像になると途端に失われてしまっている。AVCとMP4の盟主と呼んでも良いポジションのはずのAppleが、なぜAppleTVをあれほど中途半端な仕様にしてしまったのか、理解に苦しむ。

つまり、HDTVですがハイデフなソースはほとんどありません。42インチぐらいならSD画質でも全然困らないですね。 MacWorld Expo 2008の真打ちはApple TVだった
これは、本当の1080pHDコンテンツを見ていない間だけ言えることだと思う。一度体験したら、どんなに優れたアップコンが施されても、もう元には戻れないだろう。きわめて忙しい生活を送る中で、1~2時間ものまとまった時間を使って、ひとつのコンテンツに対してアテンションを消費し続けるというのは、なかなか気合のいる所作だ。同じ時間を消費するのであれば、より高いクオリティで楽しみたいと考えるのは自然な欲求だろう。 ただし、クオリティは向上の一途をたどるだろうし、イノベーションはいつでも低いクオリティを利便性で補いながら成長するので、これも時間が解決する問題だ。


最後の三つ目は、「いつでも見れる」は「いつまでも見ない」と等価であるということだ。

「そうか、ネットの向こう側に、HDDを購入する何%かの値段でいつでも欲しいときに引き出せるライブラリがあると思えばいいのか」
MacWorld Expo 2008の真打ちはApple TVだった

この考え方をした途端、週末に"その"コンテンツを見る必要性がなくなる。もっと別の差し迫った何かに時間を割きたいと考えるだろう。だっていつでも引き出せるのだから、今週末に見る必要性がそもそもない。映画の公開期間が決まっているから、Discを借りて返す期限がきまっているから、録画しておかないと見れないから.....つまり、見れる期間に制約があるからこそ、人はコンテンツを見る。もっと根源的な言い方をすると、そもそも見たいコンテンツというものは存在しない。CMや予告トレーラーや広告を見るからこそ、見たくなるのだ。したがって、ネット配信がこれから乗り越えなければいけない壁は、新しいコンテンツをどう訴求して、どうすればコンテンツを"今"見なければと思わせるか、という問題だ。映画館やTVCM、店頭でのパッケージ陳列に打ち勝つコンテンツの提示方法を、これからネット配信サービス事業者は模索していかなければならない。残念ながら、まだAppleTVのUIと機能ではこの問題は解決できていないと思う。

...なんてことを書きながらも、奇跡的なパラダイムシフトを何度も行ってきたApple、勝つまで辞めないMS、勢いのあるGoogleあたりのどこかが、この壁をあっさり超えてしまうかもしれない、と一抹の希望と不安の入り混じった感情を抱いてしまうのは、家電業界という斜陽産業に身を置いているからかもしれない。

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2007.11.28

PCコンテンツもいよいよGoogleから逃げられないのか....

Google、オンラインストレージサービスを計画

サービス開始時の容量サイズに注目だが、こりゃまいったなぁ。

 Googleは、同社はプライバシーに関する懸念を認識していると語る。「プライバシーには最大限の配慮をもって取り組んでいる」と同社の広報担当者は語る。「現在、ユーザーのデータを守るために広範な安全対策を導入しており、この点で強力な実績を持っている」

プライベートコンテンツまで持ってかれたら、うーん。。。。。

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2007.11.04

WebコンテンツはGoogleから逃れられない

mixi、GoogleのSNS共通規格「Open Social」に賛同

検索に引っかからないからAPI公開しろとは決して言わない。
"Open"な共通規格をつくるから載らないかと持ちかけるわけですね。うーん、賢い。

GoogleBotにひっかからないSNSやケータイサイトなどの領域こそがGoogleの弱点となりうる、というような考え方があったけど、最近のGoogleの着実な領域拡大はそんな希望的観測すら打ち消している。

対抗しうる動きのひとつが、AppleのiPod + MacPC + iTunes + .MACという垂直統合体系なのだけれども、GoogleDesktopはMac版もちゃんとリリース済でぬかりない。MSに買収されたFaceBookもまずOpenSocialには載らないだろう。こちら側で大きくなったPCの巨人たちと新星Googleのあちら側の綱引きがいままさに行われている。

ネットワークの速度とあちら側のストレージサイズ、セキュリティ面の制約で、手元に残すことに合理性があるのは、HDMovieコンテンツと個人の特定しうるプライベートコンテンツ程度となった。HD動画配信は、一部ですでに始まっているし、来年にはいくつか本格化するサービスも出てくるだろう。

このような動向を鑑みれば、こちら側でやっておくべきことが見えてくる。

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