このつまらない仕事を辞めたら、僕の人生は変わるのだろうか?
渡辺千賀さんのところで紹介されていた、「このつまらない仕事を辞めたら、僕の人生は変わるのだろうか?」を読んだ。
邦題へのつっこみが随所でなされているが、個人的にはこのタイトルが今の心境にぴったりなフレーズであったため、思わず購入してしまった。これまで自分が正しいと思った道を選んで、その道を全力で走り抜けてきたのだが、ふと自分の位置を確認したくなるような、そんな思いに近頃駆られていたのだ。
今の職場は優秀な人が多いし、与えられたミッションもそれなりにやりがいは感じる。しかし、CE機器開発の現場を知る過程で、数々の失望と落胆を経験した。これは自分の会社だけの問題なのかもしれないし、この業界はどこでも同じなのかもしれない。いずれにしても、自らの専門領域であるソフトウェア技術だけで解決できるような類いの問題ではなく、解決できそうなリソースやソリューションも周りに見当たらない。本当に今の職場のままでいいのだろうか。技術面以外の問題のために、いつのまにかソフトウェアに対する情熱が冷めてしまっていないだろうか。そんな思いに悩まされていたのである。
この本では、未来の夢のために、生活の糧を得るためだけの仕事にしがみつくという選択は間違っている、と述べている。富を得ても幸せは得られず、得られる対価と関わりなくその仕事に対して情熱を抱けるかどうかで幸福度が決まる。そしてどの仕事に対して本当の情熱を抱けるのかは、天啓のように稲妻が走るものではなく、内面にかすかに生じた思いと数々経験の中で少しずつ形成されていき、特定のタイミングで確信に変わるものらしい。
一番印象に残った話は、NASAで入社以来35歳までずっと働いてきたエンジニアの話だ。アメリカで、ハイテク業界に属する人が一箇所で仕事をすることは大変珍しいことらしい。(ITバブル以降は定着率が上がったらしいが)。「自分の格好いいと思う仕事」がNASAでの職であり、「より格好いい」と思う職があれば移ることに抵抗はない、というくだりに大変惹かれるものがあった。
自分がこの業界に入った原点を思い返せば、攻殻機動隊、エヴァンゲリオン、lainなどサイバーパンクものを夢中で観て、ネットゲームに明け暮れる日々を過ごしながら、なんとなく仮想世界に魅力を感じるようになり、そこに「格好いい」何かがあると思ったからだ。しかし、現実は泥臭いエンジニアリング作業と地道な努力の積み重ねが要される労働集約産業であり、そのギャップに戸惑い、さらに政治的要因や経営戦略の混迷など、別次元の問題に追い討ちをかけられて、打ちのめされそうになっていたのかもしれない。
しかし、この業界の将来に対して全く悲観的なわけではない。近い将来には思い描いていた世界が実現されるかもしれない。CE機器開発の現場はそこに最も近い位置である、と今でも信じている。この信念を抱ける間は今の職に留まるのがベストだ。
そんなことを考えた夏休みでした。


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