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2004.02.02

デジタル家電の最重要課題はDRMの整備

マイクロソフトのiPod論争に見るBlogと企業の関係
http://blog.japan.cnet.com/umeda/archives/000989.html

ゲストブロガー村山さんの記事へのトラックバック


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MS社員Scoble氏がBlogでiPodのDRMを批判したら大変な論議が沸き起こったというお話。
確かにMSは製品のユーザーは多いが、敵もまた多い企業なので、MS社員であることを公にしてなおかつApple製品を批判するのは大変勇気のある行動だ。その意義については村山さんが上手にまとめておられるので、今回はDRMについて少しまとめてみたい。

近年、ネット上の海賊コンテンツの氾濫は散々メディアで取り上げられており、社会問題にまで発展していることは周知のとおりだ。最近の動向として注目したいのは、今まで既得権にしがみついていたコンテンツ業界が、いまの流通モデルでは確実に衰退していくと言うことを自覚するようになり、メーカーサイドへの歩みよりを少しずつ始めているということだ。

例えば今日のITMediaで出たこの記事

モバイルコンテンツ保護に乗り出す業界団体OMA
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0402/02/news014.html
OMAのイベントにコンテンツ業界の大手であるSony Music EntertainmentとUniversal Music Group(UMG)の代表者が出席するそうだ。

ようやくメーカー、コンテンツホルダー、ユーザーなど、皆が得をする方向が見えてきたわけだが、このDRMの分野では、高性能なPCよりも、スペックでは劣りながらも認証を行いやすい携帯やオーディオデバイスのほうが進んでいるというのは実に興味深い点だと思う。国内に目を向けても、有料コンテンツのネット配信体制が整い、デジタルコンテンツで収益がでているのはi-modeなど携帯キャリアのバリューネットしか見当たらない。PCを対象としたコンテンツビジネスはテレビの広告ビジネスの延長線でしか成り立っておらず、デジタルコンテンツそのものを有料にして大成功している例は皆無ではないだろうか。(はてなの人力検索システムはなかなか面白い。)

当然、PC業界もDRMの必要性は十分に理解している。MSは次期OS「Longhorn」において「NGSCB(Next Generation Secure Computing Base)」とIntelの「LaGrande」の合わせ技でセキュアPCを実現する。勿論MediaCenterPCにもこれを搭載してくるだろう。

Intelの2つの新技術「LaGrande」と「Vanderpool」の関係
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/1125/kaigai048.htm
進むPCハードの仮想化~Intelの「Vanderpool」とMicrosoftの「Virtual PC」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/1126/kaigai049.htm


もしこのNGSCB構想がうまく行った場合、デジタル家電に盛り上がっている家電メーカーが一気に危険な状態に陥ることになる。A社のホームサーバを買うとすべて他の機器もA社で揃えなければならない・・というのでは、次期PCの巨大な波に飲み込まれてしまうだろう。一番怖いのは、リビングに設置するホームサーバの地位をPCに奪われてしまい、IT業界が目論む「デジタル家電の水平分業産業化」が現実のものとなるシナリオだ。

そうなってしまったデジタル家電産業に、日本の家電メーカーの居場所はない。再び、ただの"一組み立て業者"の地位にまで成り下がり、暗黒時代に戻ることになってしまうのだ。ただ、携帯を始めとする軽薄短小な要素が求められるモバイル機器は、そもそも競争するステージが違うのでWin搭載携帯の普及でもない限り問題ないだろう。(意外に普及しそうで怖いが)

幸運なことに、MSのLonghornの出荷計画はずいぶん伸びてきており、2006年にずれ込むことは確実になってきたようだ。逆を言えばこれから2年の間はPCがコンテンツ産業に取り入ることは不可能なのだ。地上デジタル/BSデジタル放送録画に対応したPCの現状を見ればそれは一目瞭然である。PCのモジューラビリティが損なわれ、なおかつHD画質で光ディスクに保存することすらままならない。これがPCの現状である。(放送業界の著作権過保護の姿勢も問題はある)

NEC、業界初の地上デジタル録画対応「VALUESTAR TX」-水冷システム搭載筐体を採用
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20040106/nec.htm


このようなわけで、残り少ないモラトリアムの間に、家電メーカーは単独のメーカーに閉じた仕様ではなく、Wintelに依存しないDRMを国際規格としてきっちり規定するべきだ。そのゴールに最も近い取り組みは「DHWG」なのだが、その進捗具合を見てると一抹の不安を覚える。大手電機メーカーのトップの語るキーコンポーネントによる差異化を生み出せる環境は、メーカー共通DRMの存在が前提である事を忘れてはならないのだ。

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Tracked on 2004.02.10 at 11:11 PM

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